「おい……俺は夢でも見てんのか?」

「だとしたら、私も一緒に寝てるってことね……」

露店通りに戻った2人はお互いの頬をつねりあった。目の前に見えたものがすごーーーく信じられなかった。

「――――ってぇええっ!ニーナっ、お前、力強すぎっ!」

「うるさいっ!あんただって思いっきりつねりすぎよっ!」

あまりの痛さに大声で言い合いを始めてしまった、近付いてくる気配にも気付かず…。

「で、広場の方はどうだったんだ?」

「うるせー!今それどころじゃねぇんだよっ、ニーナの馬鹿力がよぉ〜っ!」

「なによっ!馬鹿力はあんたの方でしょ!バカリュート!」

2人はおでこを押し付け合いながら睨み合っている。
「…何やってる…ケンカの原因はなんだ?」

「いや、ガルの奴が知らない女と話してたから、夢かと思ってよぉ〜
そうだ!ガル…が………あ………よぉ、なんかいい食いもん見つかったか?」

目の前に立っているのがガル本人だということに気付き、リュートは愛想笑いを浮かべた。
ニーナはもう気付いてばつのわるい顔をしている。

「まったくお前らは…いつまでたっても…。」

「この2人があなたが一緒に旅をしてる2人?」

ガルの後ろから先程、話していた女が顔を出した。
金色の肩までの髪がとても印象的だ。

「ああ、そうだ…みっともない所を見せたな…」

笑い合うガルと女にリュート達はポカンと口を開けて2人を見つめた。