「あっ………」

曇り空の下を一羽のつばめが通りすぎる。

「もう6月…か……」

藤宮沙良[フジミヤサラ]。
それが私の名前。
市内に通う公立高校の女子高生だ。

毎日がつまらないと思う日常で唯一楽しいと思えること、それが“剣道”。
たいして強い訳ではない。小さい頃からやってきたという訳でもない。


だって私が始めたのは1年前―――そう、高校に入ってからだった―――