優香が教室から出て行ったから
俺は彼女の後をつけてみた。

途中でチャイムが鳴ったけど
そんなのこれっぽっちも気にしない。


しばらく歩いていると屋上についた。


彼女に喋りかけると
ものすごく嫌な顔をされた。


ショック・・・。
とか思いながら俺はもう一度
彼女に喋りかけた。

「優香はさ・・・。
 何に対してそんな悩んでんの?」

「何?いきなり・・・。別に、何も」

「じゃあ、なんでそんな目してんの?」

「目・・・?」

「おぅ。
 いつも遠くを見つめるような
 悲しい眼をしてる」

「そんなことない。
 きっとアンタの気のせいだよ」

「気のせいじゃないよ。
 俺のこと騙せると思ってるの?」

「これが私なの・・・」

「優香ってさ・・・。
 笑ったことある?」

「あるよ。
 今日もちゃんと笑ってたじゃん」

「あれが笑ってたの?」

「あれが私の笑顔だよ」

「心から笑ってた?」

「えっ?」

「心から笑ってたか?」

「あ、当たり前でしょ!」

「ウソつけ・・・」

「なんか私のことかいかぶってない?」

「は?」

「私はアンタみたいに
 そこまでできた人間じゃない」

「知ってる。  
 優香が不器用だってことくらい」

「意味わかんない。
 早く私の前から消えて」

「無理・・・って言ったら?」

「じゃあ・・・。
 私が出てってあげる」


そういって
彼女は立ち上がった。