唐突だけど、俺の話をしよう。俺がなぜ悪魔になったのかを…聞きたくないなら、耳をふさいでくれて構わない。


だってこれは、気持ち悪く、不潔で、不純で、不出来で、不幸で、哀れな―そんな俺の、安久李冬馬の、過去なのだから―



俺が産まれたのは、人間の歴史のなかでは、第二次世界対戦の頃だった。


その頃は、お世辞にも豊かな時代とは言えなかった。死んでいく人々、焼け野原になっていく町並み、不足していく食糧ー


そんな中でも、必死で生きている人間はとても美しかった。しかし、俺は疑問を持ってしまったのだ。

なぜ、国のためと言って罪のない人間を殺さなくてはいけないのだろう…?