「あのさぁ……」


グラウンドから随分離れた校内で。


「ピアノ専攻でしょ?
あんた」


可愛い男の子が、ようやくあたしの手首を離した。


「この建物が音楽棟だから。
ここから先は、ひとりで行って」


とってもオシャレな白い建物を指さして、ツンとした表情で、きびすを返す。


そんな彼に……。