――……。


……。


その後、大雅さんと綾ちゃんがどうなったかはわからない。

でも、大雅さんも綾ちゃんも前よりも笑顔が増えたような気がするから…、だからきっと上手く行ったんだと思う。


二人は二人の幸せな時間を生きている。

そう思ったから、私は何も聞かずに二人をそっと見つめていることにした。




……。




そして、前と変わらない平穏な日々が戻ってきた。
と、思った時、




「先輩! 一緒に来てください!!」




…ある日の放課後、新田くんが慌てた顔で教室に入ってきた。

教室に残ってた数名がキャーキャー騒ぐ中で、新田くんは躊躇いもせず私の手を掴む。


「ちょっ、なに、どうしたの!?」

「母が怪我して動けないんです。 だから手伝ってください」


「え…!?」


お母さんが、怪我!?




「あとでちゃんと話します、だから今は一緒に来てください」


そう言われ、そのまま教室を出た。




「真由ちゃん!! 私も行く!!」


後ろから言った優ちゃんに、新田くんは僅かに振り返る。


「高宮先輩も、手伝ってください」


それだけを言った新田くんは、私の手を掴んだまま、また走り出す。




……。




そして…――、数日ぶりに来たお花屋さんで、怪我をした新田くんのお母さんと再会した。