「お前、白蛇抜けたんじゃなかったか?」
相手の奴が、トーマにそう聞く。
白蛇というのは、トーマが前に所属していた組織……族の名称だ。
と言うことは、その頃の敵だろうか。
偶然か、必然か。
「八坂(やさか)……まさかここがお前らのアジトだったのか。心配ねぇよ、コイツはいろんな意味で前の仲間たちよりつえぇからな」
そう話すトーマに、俺は注意する。
「挑発するな」
「お前こそ、嫌な予感がプンプンすんだよな。依頼人の本名、教えろよ」
「竹原叶香(かなか)」
「俺の妹じゃねーかよ!」
前の五人を放り、言い合いを始める俺たちに痺れを切らしたのか、トップがまた口を挟む。
「白蛇の頭がなんだって?あ?ごちゃごちゃ言い合ってんなら出てけよ!」
「最近の若い奴らはキレやすくて仕方がない」
「お前も挑発してんじゃねーか威鶴!」
「本当のことを言わないと何時まで経っても自覚しないものだろう」