ケータイ小説 野いちご

オトナの純情-最後の恋-

最後の恋
  7.いつまでも平気ではいられない


一カ月まえ、わたしはやっちゃいけないことをやった。

妊娠がはっきりするまえのことで、でもそれを情緒不安定の理由にするには生まれてくる子に対して卑劣すぎる。

それ以前もわたしは意地悪だったから。

わたしは結婚してからも、相談があるの、と匠に乞うことをやめられなかった。

けれど、結婚した匠は応じなかった。

だから。


――匠って退屈じゃない?


匠と優歌ちゃんがわたしたちと同じ六月に結婚して――もちろんさきに決まっていたのは匠たちであり、わたしと譲の入籍は周りを驚かせるくらい唐突だったけれど、その半年後、レストランでばったり会ったときに云ってしまった。


わたしのことはどれだけがんばっても認めなかったくせに、匠は優歌ちゃんをすんなりと受け入れた。

それはふたりを見ていればわかる。

なんのわだかまりもなくて、まっすぐに匠を見ている優歌ちゃんをうらやましいと思った。


譲と結婚して幸せじゃないなんてことはない。

幸せじゃないと云ったらきっと天罰ものだ。

それよりは、むしろ幸せと感じることが、わたしにとっては天罰のように感じ始めた。


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