ケータイ小説 野いちご

オトナの純情-最後の恋-

最後の恋
  5.まるで少年のように


同じことをするわたしは浅はかで愚かしい。

自分の気持ちさえ信じられなくて、自分がどうしたいかもわからなくて、やめられない。


ダイニングバーは満杯で、大声で話したり笑ったりするような客はいないけれど、こもった話し声や笑い声がささめいて、五月という季節感そのままに気配は終始和んでいる。


そのなかで、わたしだけがそわそわしている。

譲がやってくるまで、もう間もない。


「匠、結婚式までもうすぐね。忙しい?」

「ああ。マンションの引っ越しあるから」

「優歌ちゃんておとなしそうだけど問題ないみたいね」


匠の結婚相手であり、本部長の娘である優歌ちゃんが業平見学に来たのは、ちょうど四年まえだ。
そんな時間があっても臆した感じは消えきっていない。

会社という場所だったせいで遠慮がちになったのか、“こんばんは”という挨拶さえためらっていた。

そんな子が匠とうまくいくということが理解できない。


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