「“やめろ”?」



「や、やめてくだ、さい……」



すると、彼はものすごい勢いで東川くんの胸ぐらをつかんだ。



東川くんのかかと、微妙に浮いてるし……。



「今回は見逃してやるよ。でも……次はねぇからな?」



彼の威圧的な言葉に、東川くんはコクコクと何度も首を縦に振った。



「んじゃ、とっとと失せろ」



「っ……」



ドスの効いた声ですごまれて、東川くんは顔を真っ青にして走っていってしまった。



す、すごい……。



あんなにしつこかった東川くんをいとも簡単に追っぱらってしまうなんて。



あたしはこの状況をポカン……と目を丸くして見ていることしかできなかった。