――――…








「ただいまぁー」

「おばさん
遅くなってごめんなさい」

「あら!
モエちゃんモスケと
一緒だったの?
今さっき殿様が
来たんだけど…」

「えっ…?
なんで殿が!?」

「なんで、って……
モエちゃんお祭りの約束
してたんじゃないの?
すっごい汗だくでねえ…」











――――…












『あらあら!
殿様ったらそんなに
汗をかいて!
走って来られたんですか?』

『モエとの約束を
破るわけにはいかないんだ。
早くしないと
祭りが終わってしまう』

『それがねえ
モエちゃん随分前に
どこかに行っちゃって。
てっきり殿様が
迎えに来られたんだと
思ってたんだけど…。

でもどうしてこんなに
遅かったんです?』

『それは…。

葛藤があった。
ほんの些細な葛藤だ。
しかし自分の気持ちは
偽ることは出来ん。

しかしおばちゃん、
モスケは…』

『あぁそうそう!
モスケもいないんですよ!
あの子ったら畑仕事も
ほったらかしで!』

『そうか、やはり…

遅かったか。


おばちゃんありがとう』











――――…