× × ×

シーンとしたうす暗闇。

本当にここが源氏の世界なら、牛車という乗り物があるはず。

けれど、それだと、目立つのだろう。

あたし達は馬に乗っている。

なぜあたしが乗れるのかはわからないけど、何だか乗っている。

光様の前を、別の者が行き、光様の後ろに私がいる。

それに、馬ではあるが、歩きの従者もいるので、歩みは遅い。

歩きは、光様の馬のそばを歩いている。

人々の家から漏れる明かりと月明かりで、けっこう真っ暗闇ではない。

意外に明るい。

ただ、星は降ってきそうにたくさんある。

こんなにあるのに、

何で、この時代のヒトは、

月は歌に詠んでも、星は詠まなかったんだろう。

あるのかもしれないけど、

知らない。