それから数日後。 ようやく美桜里の怪我は完治した。 そんな中――。 「よし、誰も居ないな…」 美桜里は気配を消し、柱や壁を上手く使いながら、脱走を試みていた。 怪我が治った今、長居は無用だからだ。 そして、どうにか人に見つからず、門の敷居辺りに辿り着く事が出来た。 彼女はホッと息を吐く。 すべてを見抜いているだろうあの男にだけは見つかりたくない。