目を開けると
そこには見慣れない天井が広がり
襖には立派な虎の絵が描かれていた。



「ここは?」
頭がずきずきと痛んだ。


由花は、掌で頭を押さえて
起き上がった。


「お……起きたのか?」

縁側の方からずかずかと
やってきた着物姿の男。


その男に見覚えがあった。



先日、
竹林の中で
出逢った 美しい顔立ちの男。


男は、ふらつく由花の体を支えつつ
柔らかな笑顔を見せた。


「よく気がついてくれたものよ。
この景虎の懸命な世話のかいが
あったということよのう」

景虎……

なんか聞いたことある

誰だっけ?

この人
確か
歴史の授業で習ったような気もする。