信長は 
毎日、玉の家に
正確に言うと

菊が居候している玉の家に
足しげく通った。





ある時は、魚をいっぱいカゴに入れて
ずぶ濡れでやってきた。


「そこの川で採ってきたぞ。
遠慮せずにぜんぶ食え」


「こんなにぎょうさん頂いても
私ら二人しかおらんですからなー」

玉は困ったように言った。


「かまわん!おい!菊」

菊は呼ばれていそいそと信長の傍へ
近づいた。


「何しておる!
もっと、ちこう寄れ」

「はあ」

仕方なく少し距離を縮めると
たまりかねた様に菊の腕を引っ張り
自分のあぐらをかいた足の上に
菊を乗せた。


「ひゃっ!////」

「ふ
何を驚いておるのじゃ」


不敵に笑う信長。


菊は引っ張られた為に
脚が着物から腿のあたりまで
はだけてしまったので

慌てて着物の裾をなおそうと
手を伸ばした。