「ねぇゆき。元崎どうなの?」

「え、どうって?」

「本当に好きになっちゃったりして。」

「ま、まさか!そんな訳ないじゃん。」

「本当にぃ?でも悪い気はしないんじゃないのぉ?」

「め、迷惑なだけだよ。あんなの。」

元崎が真実を知った時のカナコとゆきの会話だった。

教室の外から元崎はこの会話を聞いてしまった。

あぁそうか。
罰ゲームだったのか。

それを俺は本気にしたのか。なんてバカなんだ。

勘違いしてごめん。

この言葉は元崎のせめてもの強がりだった。

ここで怒ったりしたらよけい惨めだ。

ゆきは泣き出しそうな顔で元崎をただ見つめていた。

泣きたいのはこっちだよ。

このまま嫌いになれたら楽だったのに。

しかし、感情とはそう上手くコントロールできるものではなかった。