「行こうか。」

小さなその手を握り締め、一緒に歩き出す。

「うん。」

安心したように顔を緩める万桜(まお)。

可愛いくて愛しくて、自慢の彼女。

二つ下の高校一年生。

「ねぇ、潤(じゅん)くん。」

「ん??」

「お腹減った。」

ぶっと吹き出してしまった。

付き合って三年。

たまに喧嘩もするけど、仲良くやってる。

まだ明るい8月。

部活が終わると俺は『キャプテン』から『万桜の彼氏』に、万桜は『マネージャー』から『潤の彼女』に戻る。