わたしには下僕がいる。


「泉、紅茶」

「はい、麻衣お嬢様」


スッと出される苺の香り。


「ストロベリーティーです」

「あらステキ。ありがとう」


ここは私立のお嬢様学校。

こんな光景は別に珍しくはないわ。


ただ、わたしにとって彼は下僕。

その辺は少し、珍しいかもしれない。


泉は、わたしが幼い頃に友達兼世話係にと紹介された、家にいる執事の息子だ。


「飲んだら帰るわ」

「本日の部活動はどうされますか?」

「サボる」


ベーと彼に舌を出す。


部活なんて幽霊部員でいいわ。

そう思いながらまた一口。


「『いい加減顔出しなさいこのバカ娘』だそうです」

「……いつの間に部長と連絡取り合ってたのよ?」