ケータイ小説 野いちご

中指斬残、捌断ち儀

2012年



(一)


2012年5月29日。


17歳の誕生日を迎えた僕は、朝から五十鈴さんに出会った。


学校に行く前、春夏秋冬家の参道で五十鈴さんと鉢合わせをし、予想していた通りのことを言われてしまう。


「お誕生日、おめでとう」


老いない変わらない五十鈴さんが毎年この日に言ってくれることに、僕は“その場に相応しい顔をするしかなかった”。


ありがとうございます、と五十鈴さんの不安を取り除こうと愛想よく答えてみせる。


お誕生日おめでとう。その言葉に他意はない、産まれた日を祝う文化は万人共通の行事だ。


しかしながら、二十歳で死ぬ僕からしてみれば、誕生日とは即ち“死へのカウントダウン”。日数にしたら、いいや、カウントダウンらしく秒数に換算したら計算する気も起きない数字が並べられるだろうが、総じてそれらをまとめて三年と言えば、ああ、短いなと思ってしまう。



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