(零、一)


肉体とは容器。
生命とは源泉。
霊魂とは思考。


肉体という器に組み込まれた生命によって人は生き、生きるにおいて思考することにより人は初めて“人生”を得る。


この三つの要素は人間にとって不可欠なものであり、どれか一つが欠ければ、それは即ち“死”と判断される。


肉体が朽ちれば、生命が枯れれば、思考が壊されたならば、もはやそれは人としての仕組みをなさない“終わったモノ”であるのだが。


人の死の九割方は、生命の死が先達ものだ。


事故で、自殺で、他殺で。

死因は様々であろうが、大概の人はまず先に生命が欠ける死を経験する。


一番分かりやすい死に方であろう。


誰がどう見ても、『死んだ』と言える死体であるが、厳密には、まだその死体の中には“生きていた要素”が残っていた。