(一)


僕が伯母さんの家に住むことになったのは、2001年3月。


幼稚園で年長組に入るというところでの引っ越しだったため、幼稚園の友達や先生がお別れの会を僕にしてくれて、お歌をいくつか歌ってくれたのを覚えている。


「新しい幼稚園でも、いっぱいお友達作るのよ」と先生は言ってくれたけど、そもそも僕は編入などしなかった。


伯母さんの住む場所というのは僕がもといた県から三県も跨いだ遠くに(そうして田舎)あったため、僕の幼稚園編入先は見つからなかった。


無理もない。
年長組として一年だけだなんて、風変わりすぎる。三年保育ないし二年保育の幼稚園がざらでしかない地方にとって、また新たに受け入れとは「定員がいっぱいなので」と断りを入れられる。


唯一、小学校入学前に一年だけ受付をしていた幼稚園はあったものの、そちらは伯母さんが住む村から電車四駅向こうの市だ。