悠矢SIDE

「あ・・あ・・」

裕太はガタガタと震えている。

カッターを首から離し、俺も裕太から離れる。

「裕太の今の顔、すげーいい顔してるよ。晴菜には負けるけど。」

そう一言言い放ってから俺は部屋に入った。

「晴菜ー?」

俺の愛しい人の名前を呼ぶ。

明かりの付いてないリビングの隅っこに晴菜は体育座りをしていた。

「悠矢・・・あのっ・・・」

ほらね?裕太よりも、ずっと良い顔。

「ん?」

「ごめっ・・なさいっ・・」

「晴菜。もう大丈夫だよ?ほら絆創膏貼ろう?」

そう言って俺は晴菜の指に絆創膏を貼った。

「できたっ。」

「あり・・がとう」

「ねぇ・・・晴菜?」

晴菜の絆創膏を貼った傷口を見ながら、そのまま続けた。

「俺ね、さっき晴菜が包丁で指切ったとき思ったんだけど、晴菜の血ってさ・・・綺麗だよね・・・」