結局、優ちゃんと健吾さんは最後まで残って花火を楽しんだらしい。

翌日来たメールに【 ジンクスを試そうとしたけど無理だったー。 】と書かれてたけど…、ジンクスってなんだろう?




「ねぇ龍輝さん、昨日の花火大会にまつわるジンクスって知ってる?」


冷蔵庫に寄りかかりながら龍輝さんを見ると、龍輝さんは「んー」と少し悩んで天井を見た。


「確か、一番最後に打ち上げられた花火が開いた時にキスするとその二人は永遠に一緒に居られる。とか、そんな風に言ってたかな」

「え、そうなんですか!?」


うわっ…そんなの全然知らなかった…!!


「最後まで残っとけばよかったぁ…!!
て言うか、知ってたなら教えてくださいよー…」

「あはは、そんな小っ恥ずかしいこと出来ねーだろ」

「えー…?」


でも昨日、たくさんの人が居るところでキスしちゃったけどなぁ…。

んー…、それとこれとは別、ってこと?
……よくわかんないや。


「そんなことより、」

「え?」

「ほら、メシ出来たから食うぞー」


と両手にお皿を持って、にっこり笑う龍輝さん。


「わぁ…龍輝さんのご飯、久しぶりー」

「おー、これからはまたいつでも作ってやるよ」

「うんっ」


これからはまた、いつでも。

嬉しいなぁー。




「でも、もっとずっと向こうに居るんだと思ってましたけど…、お家の方はもういいんですか?」

「うん」




…龍輝さんは、予定よりもずっと早くマンションに戻ってきた。

もしかしたら昨日のことでまた無理させちゃったかな?と不安に思いながら龍輝さんを見る。


そうすると龍輝さんは、またにっこり笑う。