――……。


……。


数日後。

モヤモヤは消えないままだったけど、私たちはまたみんなで集まっていた。


でも今日は龍輝さんの部屋じゃなくて、混雑する駅前に集合していた。

理由は簡単で…、


「せっかくの花火大会なのにさぁ、なんで真由ちゃんは浴衣じゃないの?」


…今日は近くの河川敷で花火大会が行われるから、それを見るために私たちは駅前に来ていた。


「あはは…ごめんなさい、すっかり忘れてました」


花火大会って言ったら、やっぱり浴衣だよね…。
でも残念ながら、すっかり忘れてました。


んー、龍輝さんが居ないからって気が抜けてるのかも…。



「大雅さーん、私の浴衣じゃ不満?」


と、浴衣の袖をひらひらさせて笑う優ちゃん。

優ちゃんってば、やっぱり何着ても似合うなぁ…。


隣に居る健吾さんも、まばたきするのを忘れるほどに見とれてる。


だけど大雅さんは…、


「んー、馬子にも衣装?」


…なんて答えるから、優ちゃんと健吾さんからのチョップを食らってしまった。

まぁ、それでも大雅さんは楽しそうに笑ってるけどね。




「んじゃ、そろそろ行こっか!!」


大雅さんの声にみんなが動き出す。

花火が打ち上げられるのはまだまだ先だけど、駅は既に会場へ向かう人でいっぱいだ。

私たちもその人たちと同じように構内を進んで、電車に乗る。