ゴロゴロッ ドカーーーンッ!

「…かはっ」

落雷が、彼女の体に落ちた。

それと同時に大蛇は消滅し、黒焦げとなった体は地面に崩れ落ちる。

その上に、ポツポツ…と雨が降り注ぎはじめた。

「傘、持ってきて良かった」

わたしはカバンから折りたたみ傘を取り出し、さした。

雨は勢いを増し、周囲の光景すら見えなくしていく。

「そのロザリオ、逆凪を防いでくれる物じゃなくて、術を使う者の力を強くする物なの。そしてあなたがそういう眼に合ったのは、わたしが本物の『魔女』だからよ」

本物だからこそ、低級なモノは寄って来れない。

ゆえに交霊術も心霊スポットも、わたしは無意味にしてしまうのだ。

わたしの意思に関係なく、身を守る為の術は発動してしまう。

そしてその対価は…不老。

発動する度に、わたしの成長は止まってしまう。

もうすでに百年以上、この姿でわたしは生きていた。

「自分でかけた術じゃないだけに、忌まわしいことこの上ないわね」

そう言いながら、彼女の元へ歩く。

そして砕け散ったロザリオを見た。

「この十字架は……やはり」