夏休みが始まり、1週間が経った頃……沙良ちゃんから電話があった。



『みゅー!ちょっとお願いがあるんだけど、聞いてくれる?』



この1週間、夢にまで暁が出てくるほど、暁のことを考えてしまって、そろそろ沙良ちゃんに助け舟を出してもらおうとしていたところだった。



『ん?』

『光聖と遊んでやってくれない?』



……え?

私が、光聖くんと遊ぶ?



『いや2人きりじゃなくてもいいの!もちろん私も全然いるんだけど!』

『うん』

『ただ、光聖も一応男だし……』



光聖くんが何で私と遊びたいんだろう……と考えてみた。

思い当たるのは、カラオケで助けてもらったあの日に、光聖くんの友達が「これは光聖が好きになるはずだわ」と私に向かって言ったこと。



光聖くん……もしかして、私に好意を持ってくれてるのかな。



カラオケでは助けてくれたし、比較的話しやすいし、悪い人ではないのは分かってる。



ただ、もし本当に私のことを好きでいてくれてるんだとしたら……私はその気持ちに応えられる自信がない。



『光聖は、心優が嫌がるようなことは絶対しないから。保育園から光聖と一緒のあたしが保証する!』

『うん』

『1回だけでもいいの。1時間だけでも。どうかな……?』

『うん、わかった』

『え?』



電話越しに沙良ちゃんの驚いている声が聞こえた。