「あの子、一見クールだけど、優しい子ね。あんなに息を切らして、届けてくれるんですもの」



「だな」



遠目に見える、コンビニの明かりを見つめる。

彼女…同じ会社の秘書課に勤務する、同い年の糸田優里ーイトダユウリー。

社内合コンで知り合い、いつの間にか付き合ってた女。

それも、忘れたキーケースを届けてくれた、年下の店員に惚れたものの、進展なんてあり得ないと、自棄になったから。

そんな事も知らず、優里は彼女を褒めた。

俺の想いにも気付かずに。

―――家に着き、袋から煙草を取り出すと、優里は煙草を片手に、ティラミスを食べ始めた。