「んッ…ふぅ…っ……」
夢か現実か、区別が付かない事が、今まであっただろうか。
初めてまともに話した、お客さん。
大好きだった彼。
香椎海斗さんに、キスをされた。
家族の事を芽以外に、打ち明けられた。
そして、大人の意見をくれた。
海斗さんには綺麗な彼女さんが居て。
私には、福智さんという彼氏が居るのに。
溶けてしまいそうな口付けは、甘くて苦い。
福智さんとキスをした事がない私。
ファーストキスだと見抜かれたように、優しく私の舌を絡め取られた。
何となく、この距離が怖くて避けてたのに。
怖くない。
上顎に舌が伸びて来た瞬間、体の力が抜けた。