「どうなっているんだ? 一体…」

眉間にシワを寄せるほど険しい表情で、マカは呟く。

「座敷わらしじゃあるまいし…。どこのモノなんだか…」

「あら、マカ先輩。何をぶつぶつ言っているんですか?」

廊下を歩くマカに声をかけたのは、魔女のリリス。

「リリス…」

長い銀髪に美しい深海色の瞳を持つ彼女は、見た目通りの年齢ではないことを、マカは感じ取っていた。

リリスは目的があって、マカの通う高校の2学年に転入ではなく、侵入しているのだ。

「まさか…お前の仕業か?」

「はい? 今は特に、マカ先輩の周囲では何もしていませんが?」

しかしリリスは何のことか分からぬ様子で、首を傾げる。

その様子を見て、マカはスっと眼を細めた。

「そうだな。前はよくもやってくれたな」

「昔のことは忘れましょうよ。それより何かあったんですか?」