電車に乗って二十分、そこから歩いて更に三十分後。

二人は目的の店の前に到着した。

が、マカの顔色が明らかに暗い。

「『骨董屋 闇夜想(あんやそう)』…。闇業職人と言い…今日は闇に取り付かれる日なのか?」

「まあ闇が関係しているのが分かるお店ですね」

「ミコトの職業名もな…」

ぐったりしながら、マカは店の引き戸を開けた。

 ちりんちりーん

甲高い鈴の音に、マカは軽く眉をひそめる。

「いらっしゃい。お客さんとは珍しい」

鈴の音を聞いて、一人の女の子が店の奥から出てきた。

和服の上に白いエプロンをした、メガネをかけている女の子は、無表情を変えずに声をかけてくる。

「当店に何かご用で?」