翌朝、私は鏡の前で途方に暮れていた。


 ちいちゃんの写メを見ながら色々とメイクを施したものの、どう頑張ってもちいちゃん似の顔にならないのだ。


 やっぱり眼鏡を掛けないと無理だわ……

 ちいちゃんの顔の特徴は眼鏡にある。眼鏡に特徴が集約されている、と言っても過言じゃない。その眼鏡なしでは、どうあがいてもちいちゃんには近付けない。


 こんな、ただのブスな顔で中野君の気を引けるんだろうか……


 鏡に映った、わけのわからないメイクで“あんた誰?”状態になった私に向かって呟いた。


 中野君が眼鏡を返してくれるとは思えないし、いっそちいちゃんの眼鏡も“没収”してくれないかなあ。そうすれば、たぶん何とかなるのになあ……


 あっ。

 なんだ、その手があるじゃん!