「あ、琢己」


 高木さんが琢己と呼んだ子は、たぶん中学生ぐらいだと思うけど、顔のニキビが印象的な、いかにも元気そうな男の子だった。


「姉ちゃんの友達? 腹が減りすぎて、姉ちゃんが二人に見えてるのかと思ったよ」


 そう言って琢己君は、私と高木さんをキョロキョロと見比べた。


「そうよ。大塚さん、この子は私の弟で琢己といいます。中3です」


「大塚彩花です。よろしくね?」


「うん」


「“うん”じゃなくて、“よろしくお願いします”でしょ!」


「あ。よろしくお願いします……」


 うわあ、厳しいなあ。高木さんって、お母さんみたい。


「ほら、荷物を持ちなさい」


「わかった」


 琢己君は、私が手に提げていた買い物袋を持ってくれた。