高校の新学期。私は窓の外の開花したばかりの桜の木をぼんやり眺めていた。例年の今頃は花が散り掛けているか、下手したら葉桜になっているのに、今年は冬が異常に寒くて長かったから、春の訪れがかなり遅れたらしい。


「みんなとクラスが別れちゃって寂しいね?」


 そう私に話し掛けて来たのは友達の恵美だ。3年に進級するにあたりクラス替えがあり、友達の中で同じクラスになったのはこの恵美ひとりだけ。


 このクラスは理系志望クラス。うちの高校は一応は進学校で、3年生は文系志望と理系志望にクラスが別れるらしい。やはり文系より理系志望の方が人数は少なく、理系のクラスはこのクラスともうひとつの2組だけ。しかも女子は更に人数が少ないため、このクラスだけらしい。


 数学が好きな私と化学が好きな恵美は、その数少ない理系志望の女子として同じこのクラスになったのだけど、他の子達は文系という事でクラスが別れてしまった。