「や、やめてください!」

グレイのスーツを着た女は、若かった。

まだ十代かもしれない。

新入社員だと思われる女は、新品の鞄を抱き締めながら、逃げていた。

人通りの少ない路地裏に、入り込んだ女は、もうすぐ行き止まりに辿り着く。

あちらこちらに、不信者注意と、訪ね人のポスターが貼られていた。

「最近…この貼りのせいか…女が、よってこないんだよ」

女を追う男の1人が、ポスターを引きちぎった。


男は、三人いて……女を行き止まりに誘導できたことで、本性を口にしだした。

「でも、ここは絶好の場所だぜ!」

「女を襲うのにな!」

楽しそうに笑う二人の男を押し退けて、にやけた男が前に出てくる。

三人とも、見た目は普通の男だ。髪を、染めてる訳ででもない。

大学生くらいだと思われる。

「お金なら……わ、渡します!」

女は、慌てふためきながら、もっといたバッグから、財布を出そうとした。


「きゃっ!」

前に出た男は、女のバッグを蹴り上げた。バッグは、地面に転がった。

男は女に、顔を近付けると、

「金なら、あるんだよ!俺がほしいのは…」

震える女の顎に手をかけ、無理矢理上げると、笑いかけた。

恐怖に歪む…女の顔を、舐めるように見、

「その顔だ!その顔が、たまんねえ〜!」

うっとりした表情を浮かべた。

「おい!早くしろよ!」

「もう我慢できないよ!」

後ろの二人が、前の男を急かした。

「……よかったな…あんた…明日から、価値観が変わるぜ?使用後…使用前とはなあ!」

たまらなく嬉しそうな男。

女の震えは、止まらない。

「もっと歪めろよ!」





「ククク…」

震える女の体が、さらに震えた。

だが……。

「ハハハハ!」

それは、笑いから来るものだった。

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

顎を掴まれながら、女の笑い声は、止まらない。