鳥かごに捕われた鳥は、自由を願っているのだろうか。

高く自由には、飛びないけど…餓えることはない。



少女は、読みかけの本を閉じると、白いベットの上に座りながら、

ふと窓の外を見た。窓ガラスを、開けることはできない。

少女は鳥かごの中の…さらにかごの中。

無菌室という特殊な空間が、彼女の自由だった。

自分は生きているけど……生きるという意味がわからなかった。

いつまで、ここにいるかもわからなかった。

病気のことも、教えられていない。


ただ…ある日、発病し…ここ以外の自由を、失っただけだ。

外のものも、簡単に少女に渡すわけには、いかなかった。

だから、同じ本を何度も何度も読み返していた。


不思議なことに、何度読み返しても、物語には新しい発見があった。

そんな発見…多分、ここにいなければ、わからなかっただろう。

少女は、自然と微笑み、


窓から視線を、こちらに向けた。

無菌室を囲う部屋の向こうにいる…僕に。



「そんなに、来なくていいんだよ…赤星くん」


少女の微笑みは、暖かく…


それだけで、僕は涙が流れそうになった。

けど、流すわけにはいかなかった。