「じゃぁ俺そろそろ帰ります」
そう言って佳はガタンッとイスから立ち上がった。
玄関に行って、先輩と佳を見送る。
「佳、気をつけてね」
「これ、一応俺のメアドだから」
「…ありがとうございます」
先輩が渡した紙をスッとズボンのポケットに入れる。
「佳…
これからも話とかしてくれる…?」
「……」
不安そうに訪ねる私に佳はプッと笑って。
「当たり前
俺ら別れてもまた友達だろ?」
と言って頭を優しく撫でてくれた。
その言葉にホッとする。
「うん、そうだよね…」
「じゃ、また…」
「バイバイ」
「じゃーね」
パタンッと扉が閉まる。
その瞬間、涙が流れてきた。
ポタ、ポタと床に水滴が垂れる。
「実梨ちゃん?
泣いてるの?」
「すいません、ちょっと…」
自分でも何で泣いてるのかわからない。
でも、自然に出てきたんだ…。
必死に袖で涙を拭くが、止まらない。
「う…ぅ」
先輩にはもう泣いてるとこなんて見せたくないのに…。
その時、フワッと先輩の手が私の肩を掴んで、引き寄せられた。
「泣いてていいよ
ずっと俺がそばにいるから」
先輩の優しい声が耳に流れて涙腺が壊れたようにどんどん溢れ出てくる。
私と先輩はその場に座って、本当にずっとそばにいてくれた。
あの保健室にいた時のように…。