「せ、先輩…?」



「あ…」



しまった!というように先輩は口に手を当てた。




私の聞き間違えじゃなかったら、今のは…。



『おっと、これは予想外!まさかの三角関係でしょうか!?
しかも今告白したのは女子に人気の黒木くんでしたね〜!』




やっぱり、聞き間違えじゃなかったんだ…。



『さぁ、桜井さんは何て答えるのでしょうか!?
そして、どちらを選ぶのでしょうか!?』



ズイッとみんなの視線が私に集まる。



「え、え…!?」




ウソでしょ!?



こんな公衆の面前で返事するの!?



もちろん、付き合ってるのは佳だし、好きなのも佳だけど…。



こんなみんながいる前で返事をしたら先輩、すごく傷つくんじゃ…。



だったら…



「返事はまた今…」



いいかけようとした時




「愁!?」



人だかりの中から先輩の名前を呼んで出てきたのは早瀬先輩だった。



「どういうこと、愁!
あの子のことが好きって!?
愁は私のこと嫌いになったの!?」



ずかずかと、人目も気にせず先輩に歩みよる。




めんどくさい人が出てきた…。



そう思った私とは逆に、判定審判の司会者の人は興奮して見ていた。



『お〜っと、これまた予想外!
なんとこれはドロドロの四角関係だ〜!
みなさん、こんな修羅場そうそうないですよ!』



マイクで言う司会者に、とうとう先生たちが出てきた。




『いい加減にしなさい!
時間が押しているんです!
借り物人競争はこれで終了とし、次の種目を初めます!』



学校の中で一番怖い女の塩田先生が司会者のマイクを奪い取って全クラスに言った。



まぁ確かになんかもう体育祭とは別のものになってたしね…。



私は助かった、と少し胸を撫でおろした。




校長先生はちょっと残念そうな顔をしてたけど…。