それからのことは、あまり憶えていない。 ただ。 しっかりしなくては、と思って過ごした。 私が、しゃんとしていなくては、と。 最後の夜、私はお母さんの隣で寝た。 お線香の焚かれた部屋で。 白い布を被せた、その人と一緒に。 幻聴でも私にはお母さんの寝息が聞こえた。 傍にいる、と。 感じていた。