『今年も、もうあと一ヶ月だよ…』



言葉は、入り込んで来た冷えた夜の空気に触れて、
少しだけ、白く染まって消えた。




静かな夜。


部屋のベッドに腰を下ろし、
窓から空を見上げて呟く。


窓の外に広がる星空。


少し滲んで見えるその星達に瞳が滲んでいることを教えられて、
小さく息を吐いた。



次に落とした視線の先は、
右手に握られている定期入れ。




私の定期入れは二つ折りになってて、

開くと中には…




友達にも家族にも、誰にも見せたことのないプリクラが貼ってある。


…あ、一人だけ見ちゃった人がいるけど。






高校での生活も3年目に突入して、
その3年目も後わずか。




あの日から約3年がたった今でも…



まだこんなに胸を締め付けてる想い。





『〜♪〜…♪〜……』




そっと、口ずさんでみる。



とぎれとぎれに紡ぐ、

w-inds.の「Dedicated to you」





――…ぽとり




涙が一粒、零れて落ちた。