「……黒瀬利玖…」

「黒瀬…。返してくれないって…?」



どういうこと?みたいな顔で楓は黒瀬利玖に聞いた。



「ちょっとな。行くぞ花音」

「…えっ!?どこに!?」



黒瀬利玖はあたしの腕を掴み、スタスタと歩き出した。



「…ど、どこに行くの!?」



廊下にはあたし達の足音が響いている。



「……屋上かな」

「屋上…?」



黒瀬利玖はあたしの腕を掴んだまま、



屋上に着いた。



「……うわぁ…。桜吹雪みたい…!!」



屋上に着くと、まだ咲いていた桜の木の桜が風に吹かれて



すごくキレイだった。



「……やっと笑ったな?」

「……?」

「ずっと辛そうな顔してたから」



黒瀬利玖はフェンスに寄りかかって座った。



さ、様になっている……。