「Trick or treat!!☆」
『どうしたの、由依?
その格好……』
「今日はハロウィンだよ☆」
10月末日。
そう、由依の言う通り今日は年に一度のハロウィン。
それは私も承知しているのだけど……。
“イベント→お祭り→美味しいものいっぱい”
という短絡的思考からイベント好きな由依は、今日も張り切っている。
由依は仮装にもしっかりと力を入れていた。
胴体は上下の骸骨柄のスーツにマントを羽織り、さらにその上に天使の羽、頭には天使の輪、口には吸血鬼の牙を装着している。
骸骨だか、吸血鬼だか、天使だかわからない。
珍妙な出で立ちだけど……。
「だから、お菓子ちょーだい。
くれないとイタズラしちゃうよ?☆」
瞳を輝かせてお菓子の催促をする由依はやはり可愛らしくて、
『はい、どうぞ』
と、用意していたお菓子を笑顔で手渡した。