「見て!母さん!

お化け屋敷があるんですって〜!

行きましょうよ、ねっ?」




駐車場に亮佑と直之を置き去りにして。

菜々子とナツばぁちゃんは受付を済ませ

パンフレットを広げながら

中庭に移動していた。




昨日、円香と必ずお好み焼きを買いに行く

と約束していたためである。

それに劇の前に2人に会っておきたかった。




ナツばぁちゃんは、菜々子が張り切って

パンフレットを広げている横で、

若干の車酔いで元気がなかった。




菜々子に引きずられるまま

お好み焼きの屋台までたどり着く。




「早苗ちゃんっ!

円香ちゃんっ!」




菜々子が大きく手を振ると、

屋台の中で何か作業をしていた

早苗と円香が顔を上げた。




「菜々子さん!ナツばあちゃん!

来てくれたんですね!!

亮佑と直之は?」




円香がニコニコしながら尋ねる。




「そりゃあ、早苗ちゃんと円香ちゃんの

晴れ姿だもの。来るに決まってるわ。

亮ちゃんと直之くんなら、

多分駐車場でへばってるわよ」




そう言うと、円香も早苗も

思い当たる節があったようで

納得したように何度か頷いた。




?マークを頭の上に浮かべつつ

菜々子はマイペースに言う。




「お好み焼き、また後で買うわね!

あたし、お化け屋敷行きたぁい」




ナツばぁちゃんが、「えっ」と

小さく声を上げたが、

菜々子は隙を与えることなく

2人に手を振ってさっさと校舎の中に

ナツばぁちゃんを引きずって行った。