ぁあ…どうしよう。









直之は誰もいなくなった家で

1人居間で大の字になっていた。




輝のことがあって、

円香と少し距離が縮まったと…

そう思っていたのに。




甚だしい勘違いだった。

円香は今も、亮佑を想っている。




直之はそう勘違い…というよりも

思い込んでいた。




円香に対する自分の言動も、

亮佑に対して放った一言も、

今はただただ後悔している。




――当たって砕けての後悔ならまだしも、

そんな理由で勝手に後悔して

人に八つ当たりするなんて最低よ。

もっと直之は頭のいい奴だと思ったわ。




買い物に出掛ける前…。

早苗は直之に言った。




そういう早苗は、亮佑に素直に

甘えられなくて、亮佑に

八つ当たりしているではないか。




人のこと言える立場か?




そう思いながら心内に留めた。

言ったら、今畑でうずくまっている

どM男と同じことになりそうだ。




「俺、だっせー」




早苗の言っていることは

間違いではない。むしろ正論だ。

円香と正面から向かい合う勇気がなくて

外堀から埋めようとして勝手に自爆し、

きちんと確認もせず落ち込んで

心配してくれた亮佑に八つ当たりした。




ぁあ、もう、本当に。




「俺、マジだせー…」