告白宣言をした俺を見て、
篤志は呆然としていた。
「マジ…で?」
俺は頷いた。
「そうか…」と篤志は考え込んでしまった。
しばらく考え込んで、
「そうだよな」
と言いながら、篤志は何度もひとりで頷いていた。
そして、
「成海は、桜木が好きなんだもんな」
と笑った。
「うん」
「そうだよな…違うなんて言えね−よな。
俺が間違っていたよ。
成海、桜木を守ってやれよ。
うまくいっても、うまくいかなくても。
桜木をちゃんと、守ってやれよ」
篤志…
「うん。当たり前だろ」
「俺は、応援するよ」
篤志にそう言われて、
俺はその時、
告白する気持ちが、ものすごく強くなっていた。
でも
いざ、
桜木に声をかけようと思っても、
なかなかタイミングがなくて、
教室では周りの目もあって、
声すらかけることが、できずにいた。
そして結局、
放課後になってしまった。
音楽室へ向かう桜木を、
呼び止めることも
できなかった。