.+*思わぬ同居*+.





「失礼いたします」


わたくしが今持っているものは小さなカバンだけ……。


二階建ての一軒屋へと足を踏み入れてお辞儀するわたくしの隣には……。


「そんなに改まらなくてもいいんだよ」


笑うわたくしの着替えやら何やらを詰め込んだカバンを苦言することなく肩に担いでいる凛々しい瀬名(せな)さまがいらっしゃいます。




――ああ、夢のようですわ。



今日からわたくし、神楽 姫(かぐら ひめ)は紺野 瀬名(こんの せな)さまと一つ屋根の下なのですもの!!



わたくしが物思いにふけっていると、前方からおばさまがやって来られました。


「姫ちゃん、いらっしゃい自分の家のようにゆっくりしてもらっていいですからね」


にこりと微笑むおばさまは、とても綺麗です。



そんなおばさまは、わたくしの将来なりたい女性像、憧れの女性なのです!!




これから、おばさまを見習って、わたくし、神楽 姫は瀬名さまのハートを見事ゲットする所存なのですわ!!




わたくしは改めて自分に決意をしていると……「さあさ、姫ちゃん上がって。瀬名、姫ちゃんに部屋の案内をお願いね。終わったらリビングの隣の部屋でお茶にしましょう」



おばさまは、そうおっしゃるとリビングへと向かって行きました。



「姫ちゃん、こっちだよ」


大きな荷物を持った瀬名さまの広い背中を追います。