ケータイ小説 野いちご

ヤクザを愛したヤクザ

始まり



なるべく音をたてないように廊下を歩き浴室に向かう。
まだ仁也さん帰ってきてないよね?

「おい」

ビクッッ――!!!

やばい。まだ誰か起きてたんだ。
仁也さんでありませんように!!そんな願いを込めて振り返る。


『…よかったぁ。松本さんかぁ』

「何やってんだ?こんな時間に」

仁也さんじゃなかった事に一息つこうとしたのに聞かれたくない事を聞かれた。

『あのっえっと…』

廊下の電気は消されていて大広間から少し差し込む光だけによって私達は照らされている。だから私が血にまみれているということはばれていない。
いや、いなかった。

パチッ

一瞬で廊下が明るくなった。

「お前、血だらけじゃねぇか!!!」

「お前ら何やってんだ?」

松本さんと重なってもう一人の声が聞こえた。
重なっていてもわかる。この声は…―――

『じっ仁也さん……』

今一番会いたくなかった人がいた。

「おい、どうした。」

『すっすみません!!!
任務をまだ遂行していなくて…さっきしてきました…』

「そうか。こんな時間まで悪かったな」

そう言って仁也さんは私の頭をくしゃりと撫でた。



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