「…お前、予定ないよな」


放課後、橘センパイが私の教室に顔を出した。


昨日あんなにグロッキーだったのが嘘みたいに回復してる。
アンタ、一体どんな体力してんのよ。


しかも男前度が以前より増して見えるのは、惚れた弱みなの?


つーか、予定がないって決め付けんな!!
(ないケド)


学校中の女子から注がれる痛いくらいの視線を感じながら、私はヤツに手を引かれるままに高校を出た。


「もたもたすんなよ」


無理矢理引っ張ってきたクセになんて横暴な物言い!


コイツ…。
いつも俺様だけど、好きな相手に対してもこんな態度だったのかしら。
そりゃ振られるわ。


「お前あそこに並んで来い」


橘センパイはそう言って、駅前にある人気のジェラート店を指差した。