賢也がうちを訪ねてきてから数週間が経った。


あれ以来賢也がうちを訪ねてくることもない。なにより、未練がましく残していた賢也の私物や携帯のメモリーを消すことができた。
…竹中さんの言葉が、私を奮い立たせてくれた気がしたんだ。






「竹中さん、指輪お気に入りですね」


「…あぁ」


そして気になることが一つ。
あれ以来、竹中さんはあまり笑わなくなった。


一昨日できあがった指輪をただぼんやりと眺めている。…お金の出所が賢也と別れるときあちらの両親から無理矢理振り込まれた手切れ金だということがバレたから、なのかな?