俺の背後からあかりを呼ぶ声。


あかりはその声にぱっと顔を上げ、目を見開いたまま俺でなく声の主を見ていた。
…いや、その瞳には誰も映していない。見えないものを恐れているような瞳で。






「―――げ、元気か?」


声の主らしき男は距離を縮めるべくあかりに向かってくる。そのたびに小さく固まっていくあかりに、俺の体は咄嗟に反応した。



「彼女に何か用か?」


振り返りあかりを隠すように立った俺は男を睨みつける。
…見るからに優男といった風貌のそいつは、一瞬顔を歪ませながら尚もあかりに声をかける。