「蝶(ちよ)!!こっちも手伝って!!」

お母様の少し高く甘い声が境内に響き渡る。

私の家は樹齢3000年以上の桜の木がある神社です。

春になるとお花見がてらたくさんの参拝客が訪れて大忙し。

そして今日はちょうど桜が満開を迎えていつもの倍以上忙しいのです。

春の陽気に包まれて穏やかな人々の声が境内中に響き渡る。

こういう空間は好きだけど、常正直忙しいのは好きではない。

「えーやだなあ。これから弓の稽古しようとおもったのにぃ。」

私は舞桜 蝶(まいざくら ちよ)

今日で16歳になりました♪

そしてただいま逃亡しようとしている最中です♪

だって、お手伝いしたら絶対夜まで手伝う羽目になってしまうもの!!

それは嫌!!←

そっと桜の幹に体を隠して、あたりを見渡す。

誰も居ないことを確認して逃げようとした瞬間誰かに体を持ち上げられた。

「きゃっ。」

「こーら。蝶。おぬし、また仕事をさぼろうとしておるな?」

「お、お父様!!」

この人は私の父・刹那。

そして私を持ち上げたのもこの人。

私のお父様は人間じゃないんだ。